【地震対策!】瓦屋根が地震に弱いと言われる理由と対策
はじめに
令和6年1月1日に起きた能登半島での地震は今もなお余震が続いており、現地では予断を許さない状態です。
お亡くなりになられた方々にはご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまにお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、現在も非常に厳しい状況が続いておられる事と思います。1日でも早く皆様の日常が戻りますことを心より願っております。
今回の地震を受けて私たち屋根屋にできることのひとつが、屋根に関する情報を発信することであると考えました。
本記事では、瓦屋根が地震に弱いと言われている原因と対策について、金属やスレート屋根など、瓦以外の屋根材と比較して解説いたします。
事前の対策で被害を大きく防ぐことができるため、補修やリフォーム、新築を検討されている方は是非参考にしてください。
瓦屋根の特徴
瓦とは粘土を焼きあげて作成される屋根材です。釉薬が塗られた青緑、オレンジ色の「陶器瓦」、粘土瓦を燻した「いぶし瓦」、「素焼き瓦」の3種類があります。瓦は不燃材であり耐火材です。 1,000℃以上で焼成された瓦は耐火性能に優れ、火災時にも暴発・ひび割れ・変形・溶解を起こさず有毒ガスも発生しません。 熱だけでなく寒さにも強く、四季のある日本の環境変化に左右されない特徴があります。 瓦屋根の寿命は40年以上とされており、100年以上もっているものもあります。ただ専門技術が必要な点などから他の屋根材と比較して施工費用は高くなる傾向にあります。それに対してスレート屋根(カラーベストなど)や金属のガルバニウム屋根の耐久は30年程度と言われていますが、瓦に比べて安価に施工ができます。しかし、10年毎のメンテナンス(塗装など)が必要なことから長期的な視点では瓦屋根の方がコストを抑えることができるとも言えます。
瓦のデメリットとしては、「重さ」が挙げられます。瓦は1枚約2.7kgで1㎡当たり約44kgとなり、他の屋根材と比較するとカラーベストが1㎡につき約20キロ、金属屋根だと1㎡につき約7キロであるため、カラーベストの約2倍、金属屋根の約6倍の重さとなります。加えて、下葺き材が土である場合は、下地とあわせて80kg~95kgほどの重量となります。関東では関東大震災を受けて土葺き住宅が減ったものの、関西では1980年ごろまで土葺きで施工されていたことから、築年数確認しておくことも重要です。
瓦をビスや釘で固定する「ガイドライン工法」の普及に加えて、2022年より建築基準法にて瓦の固定化が義務付けられたため、近年新築またはリフォームをされた瓦屋根は耐震性・耐風性が確保されています。
瓦が地震に弱いと言われる理由
前項でお伝えしたとおり、瓦屋根の「重さ」が地震に弱いと言われる理由となっています。
屋根が重いと地震の際に揺れが大きくなり倒壊の危険性は高まると考えることは妥当で、屋根を軽くすることで耐震性が向上することは確かです。しかし、一概に重いことだけが問題とは言えません。特に重要なのは家全体のバランスです。重い瓦屋根の場合であっても設計段階で耐震基準を満たしていることから、重い屋根なりにその重さに耐える躯体(主要な構造)で建てられています。この屋根と躯体のバランスが取れている限りは、設計時に想定されていた耐震性があると言えます。しかし、経年(築約30年以上)や環境による躯体の劣化により家と屋根のバランスが崩れている場合や、震度6強以上の地震が想定されていない旧制度の耐震基準で建てられている場合は注意が必要です。特に躯体の劣化が激しい場合は、屋根を軽くしたとしても倒壊の可能性が消えることは無いと言えます。
※旧耐震基準(1981年5月以前):震度5程度の地震で倒壊しないレベル
※新耐震基準(1981年6月以降):震度6強~7程度の大規模地震で倒壊しないレベル
地震対策で重要なポイント
まずは耐震診断を受けることをお勧めしています。各自治体より耐震診断員を派遣する制度がございますので、そちらをご利用ください。
ご自宅の築年数や屋根の状態によって必要な対策は様々ですので、客観的な評価を受けた上で状態に合わせた屋根リフォーム・補修をご検討ください。
診断を受ける際に手続きが発生するため多少時間がかかることもございます。早めの対策を希望される方は弊社などの屋根工事業者またはお近くの工務店にご相談ください。状況・ご予算に合わせて落下の危険がある部分のみを施工することなども可能ですので、施工の大小に関わらず対応いたします。
おすすめの屋根材
KMEW株式会社(旧クボタ松下電工外装株式会社)
軽量瓦「ROOGA(ルーガ)」※施工例
見た目は和瓦に近いですが、重量は約半分。軽量で釘止めされているため地震や台風に強い上、色褪せしにくく断熱性・遮熱性・遮音性にも優れていることが特徴です。和瓦型の「雅」の他、ナチュラルな自然石を思わせる「鉄平」という種類もあり、色も様々です。
マルスギ株式会社
防災瓦「イーグルエクサ」※施工例
防災瓦は粘土瓦のため、耐用年数は非常に長期に及びます。粘土瓦と同様に劣化しにくく屋根塗装のなどメンテナンスフリーの屋根材です。瓦の上部に防災フック、下部にロックがあるためズレ防止効果があり、 防水性能も業界トップクラスです。デザインはシャープで柔らな印象です。
KMEW株式会社(旧クボタ松下電工外装株式会社)
薄型化粧スレート「カラーベスト」※施工例
セメントと繊維を主材料とする屋根材です。 瓦に比べて安価なため普及率が高く、軽量であるため地震の揺れに強くなっています。遮熱型など様々なシーリーズや色・種類のバリエーションがあるため好みに合わせたデザインが可能です。瓦に比べて耐久性は劣りますが、定期的なメンテナンスを行うことで30年以上維持することも可能です。
アイジー工業株式会社
金属屋根材「スーパーガルテクト」※施工例
軽量で遮熱効果が期待できる金属屋根材です。さびにくい金属の「超高耐久ガルバ」を使うことで、高い耐久性を実現しています。 めっき量も多く、⼀般的なガルバリウム鋼板の約1.25倍の厚みがあります。軽量であるため耐震性能が高く、カバー工法という既存の屋根の上から施工方法も可能な屋根材です。カバー工法は、既存屋根の撤去がないため費用を抑えられる他、屋根の層が2重になることで遮熱性・遮音性・防水性が向上しますが、葺替えと比較して重量は大きくなります。耐久性は約30年です。
一部ではございますが弊社の施工事例一覧もぜひご確認ください。
耐震に関する公的サービスや補助金
耐震に関しては各都道府県、市区町村によって計画や指針が設定されており、それらに沿って補助制度が設けられています。詳細につきましては、ご自身がお住まい市区町村、都道府県のホームページまたはお問い合わせにて、ご確認いただくことをお勧めしております。ただし、各市区町村の年度予算に沿った制度ですので、令和5年度分は終了している可能性がございます。ご注意ください。
※参考としてホームページのリンクを添付しておりますのでご確認ください
大阪府HP「木造住宅の耐震化について」
大阪府八尾市HP 「民間建築物耐震診断補助制度【耐震診断】」(令和5年度終了)
「木造住宅耐震改修工事補助制度」(令和5年度終了)
奈良県HP「建築物の耐震」情報一覧
奈良市HP「住宅耐震に関する情報」
京都府HP「京都府木造住宅耐震改修等事業費補助について」
京都市防災ポータルサイト「京都市の耐震診断・耐震改修の助成制度など」
まとめ
何事も起こらず平穏に過ごせることが一番ですが、いざという時に被害に遭わないためにも事前に準備をしましょう。
家具や防災セットなどの目に見える範囲の対策の他、屋根を含めたお家内部などの見えない場所にも思いを巡らせることで防ぐことができる危機もあるかもしれません。準備には予算の問題などがあるかもしれませんが、予め情報を収集しておくだけでも身を守ることに繋がります。
屋根についてご不安な点や相談してみたいことなどありましたら、弊社瓦金にお問い合わせください。
屋根以外のことでも内容に応じて各業者さんへお繋ぎいたします。※お問合わせリンク
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